泣き顔にサヨナラのキス
そして、また困ったように笑う。
「だからって、来るなよ、バカ。俺は病人なんだ、熱があって具合が悪い」
「原口係長?」
「酷くダルくて、死にそうなんだよ」
「……あの」
「冷静な判断なんて、出来ない。だから、文句は言うな」
「えっ?」
掴まれた手首が痛かった。
それよりも……
苦しそうな原口係長の表情が胸を締め付ける。
原口係長の腕の中は、身を焦がすように熱いのに、どうしてだか、逃げ出すことが出来なかった。