泣き顔にサヨナラのキス
私物の整理を始めた。
不要なものは、その都度処分していたつもりだけど、こうやって片付けていると、意外に溜め込んでいるんだなと想った。
心の中もこんな風に、捨てていけたらいいのに。
想いも残さずに、淡々と簡単に。
なんて……
ふと、視線を感じて、隣を見る。そこには、山本さんがあたしをガン見していて。
「今日、呑みに行きましょうよ」
有無を言わさない勢いの山本さんに言葉が詰まる。
「えっと」
どうしようかな。用事はないけど。