泣き顔にサヨナラのキス
フーッと一つ大きなため息を吐いた。
「余裕なんですね。孝太くんのこと、心配じゃないんですか?
どうして、そんなに冷静なんですか?あ、愛されているからですか?」
自分で言いながら、真っ赤になっている山本さんが可愛いと想った。
「余裕なんて無いよ。いつも、不安だった。気にしないように努力したけど、やっぱり無理で。
だから、考え過ぎて、自分でダメにしないようにって。ただ、それだけ。
もし、孝太の気持ちが変わったとしても、それはそれで、仕方がないと想うし」
そこまで一気に言うと、あたしもグイッと生ビールを呑んだ。