泣き顔にサヨナラのキス


あたしは、いつも不安なんだよ。だって、孝太は。


「あたし、孝太のことが信じられない」


こんなこと、言うつもりじゃなかったのに。


驚いた表情の孝太が、あたしを見下ろして「どうして?」と呟いた。


本当に何もわかっていないんだね。そっか、付き合ったことが無いから。


孝太にとっては、何もかもが初めてだから。


「……この前、見たよ。会社の女の子と休みの日にランチしてた」


「あ、あれね。それがダメだった?」


孝太の軽い受け答えに、ショックを受けた。






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