泣き顔にサヨナラのキス
「ダメって……。
あの日、用事があるって言ってたのに、他の女の子とデートだなんて。そんなの酷いよ」
「デート?」
「あれはデートでしょ、違う?それに、いつも休みの日は何してるの?」
責め立てるあたしに、孝太もムッとして言葉を返す。
「ランチイコールデートって、大袈裟だよ。
それに毎週、俺の予定をカナに報告しなきゃいけないわけ?」
「……っ」
孝太が言いたいことも、わからなくはないよ。
だけど、あたしがどんな気持ちでいたのか、孝太は全然わかってない。
……好きだけじゃ、ダメなんだよ。