泣き顔にサヨナラのキス
重苦しい空気に包まれて、二人とも言葉を無くしたように黙り込んだ。
言うんじゃなかった。後悔しても遅いけど。
決定的な言葉を聞く前に、何とかしなくちゃ。そうは想っても言葉が出てこない。
目も合わせられずに、俯いたままのあたし。
先に口を開いたのは孝太だった。
「……ちょっと、言い過ぎた。ごめん。
カナが嫌なことは出来るだけしないよ。ただ、この前のランチは結果的にああなっただけで。
何を言っても、言い訳に聞こえるだろうけど」
そして、あたしをふわりと抱きしめた。