泣き顔にサヨナラのキス
孝太がそんなことを考えていたなんて知らなかった。
少しずつ、心が温かくなっていくみたい。
「ワケわかんないよ」
「わかんないよね。でも、カナだって俺に連絡して来なかったでしょ?」
「孝太から連絡無いのに、自分から出来なくて」
「じゃ、週末誘ってくれないのは?」
それは、何度か週末の誘いを断わられて。そんなことが続いたら、誘うのが怖くなってしまった。
「孝太、いつも忙しそうだったから」
「たまたまなんだけどな。続けて予定が入ってたのは」
ため息混じりに、でもそれでいて優しく、孝太が微笑んだ。