泣き顔にサヨナラのキス


目を細めて「相変わらずの丸顔だな」と笑う。


「失礼な」

そっぽを向いて、目を逸らしたけど。


何故だろう。変に意識してしまうのは。


ああ、そうか。原口係長の眼差しが優しいから。


「お前、随分頑張ってるみたいだな」


「あ、はい。原口係長に推して頂いたので」


ふっと小さく笑って「まあ、呑め」と原口係長。


「じゃ、遠慮なく」


「いや、遠慮はしてくれ」


お互い吹き出して笑った。

いつかと同じ会話だなと、酷く懐かしく感じて。





< 447 / 614 >

この作品をシェア

pagetop