泣き顔にサヨナラのキス
いつもと何も変わらない。
あたしたち。
好きだから、きっと。怖くなるのかなと想う。
だから、いつか終わってしまう、その瞬間を意識してしまうのかな。
無くすのは初めてじゃないあたしと、無くしたことがない孝太。
「カナ?」
名前を呼ばれてハッとする。
「ん?」
「ビールでいいよね」
そう言って、あたしの返事を待たずに「すみませーん」と店員さんを呼ぶ。
孝太が「弓枝ちゃーん」と言った。