泣き顔にサヨナラのキス
恐る恐る弓枝ちゃんに視線を移す。
ごくんと息を飲んだ。
この人が弓枝ちゃん?えっと、何て言うか。
クルクルパーマの飴ちゃんを持ってそうな、オバチャンだった。
「生ビール2つと枝豆、それから冷奴の食べラーのせ」
「また新しいメニュー勝手に作って。困るんだよねぇ」
「この前はやってくれたでしょ」
「だって、あれはさ。ホラ原口くんが……」
弓枝ちゃんは頬を赤らめた。
「あー、そうだ。弓枝ちゃん、やっぱりさ、電話番号は自分で渡しなよ」
孝太はそう言って、わかった?とあたしに目配せをした。