泣き顔にサヨナラのキス
   

遠くで車のクラクションが鳴った。


耳障りで頭にキンと響く。だからか、いきなり涙腺が緩んでしまった。


マズイと想って上を向くと孝太と目が合った。


「まだ何も言ってないのに、どうして泣くの?」

呆れたような孝太の茶色の瞳にあたしが映っていて。


我慢しようと目に力を入れたら、顔がグニャグニャに歪んで、子供みたいな泣き顔になった。

あぁ、もう。あたし何してるの。


こんなヒドイ顔見せたくないのに。




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