泣き顔にサヨナラのキス


「はい?」

孝太を見上げたあたしの顔は、かなり間抜けだったらしい。

いきなり、ゲラゲラと笑い出す孝太をぼんやりと見ていた。


…………。


あんまり笑うから、通りすがりの人の視線がチラチラ突き刺さって痛い。


「ちょっと、笑いすぎでしょ!」

本当、いい加減にして欲しい。


少しでも喜んでしまった自分に腹が立ってきた。
勿論、孝太にも。


「あたし、帰る」

笑いすぎて息が上がっている孝太を置いて、駅がある方へ一人歩き出した。




< 503 / 614 >

この作品をシェア

pagetop