泣き顔にサヨナラのキス
土曜日の午後 人通りが多い街中で、あたし達は立ち止まったまま。
「また、泣いてるの?」
振り向いた孝太が困ったように笑う。
「だって……」
嬉しくて、これ以上言葉に出来ない。
「どうしたら、泣き止んでくれる?」
「……して」
孝太は「ん」と短い返事をすると
「泣き顔にサヨナラのキスだね」
そう言って、忘れられないキスをした。
「昇進したら、結婚しようね」
……ちょっと、待って!!
もし、昇進出来なかったら、その時はどうなるの?
【END】