泣き顔にサヨナラのキス
おまけ

原口係長・一人の夜

   

『けんちゃん』


涼子が俺のことをそう呼ぶものだから、亜美が拗ねてしまった。


俺の隣で目を伏せている彼女 石川亜美は俺の婚約者。半年後には式を挙げる。


ここに連れてきたのは失敗だったかと、小さくため息を吐いた。


高校時代の同級生の涼子とは先月の同窓会で10年ぶりに再会した。


他の誰よりも逢いたかった、俺の初恋の人。


涼子は学生時代の面影を残しつつ、大人の女になっていた。和服が似合う美人、そんな涼子に亜美が逢ってみたいと言った。



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