泣き顔にサヨナラのキス
  

「週末までに消えるかな……」亜美がポツリと呟いた。

「え?何で?」

「……ドレスの試着、忘れたの?」

途端に亜美の表情が曇る。


愕然とした。


こんな大切なことを忘れるなんて。


「……週末は泊まりの接待ゴルフなんだ」


いや、無理をすればなんとか時間を作れるかもしれない。


でも、この時俺は……それをしなかった。




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