泣き顔にサヨナラのキス
「帰れ」と言われる前に身支度を整えようと思うのに、身体が重くて動けない。
「寝てろよ。朝送っていくから」
「すみません」
そう言って、原口係長に背中を向けた。
誰にでも同じように優しくするんですか?
なんて、余計なことを考えてしまう。
想像していたより、痛かったあたしのハジメテ。
あたしの恋、これからどうなるんだろう。
甘いキスの余韻と少しの寂しさで、複雑な気持ちになった。