泣き顔にサヨナラのキス
逸る気持ちを抑えて電車に飛び乗った。
連絡もせずに原口係長のマンションに向かったけど、今夜逢えるのかわからなかった。
花火の誘いを『無理だ』と言って断ったのだから、用事があるのかもしれない。
それでも、向かわずにはいられなかった。
マンションのエントランスで原口係長の部屋番号を押してインターホンを鳴らす。
ドキドキしながら、しばらく待ってみても応答は無かった。
やっぱり留守なんだ。ホッとしたような、ガッカリしたような妙な気分になる。
これからのことをぼんやり考えてみても、現状の中途半端な関係をいつまでも続けるわけにはいかない。
本当は時間を掛けてでも好きになって欲しいけど、あたしの気持ちがもう限界だった。