泣き顔にサヨナラのキス
お財布からお札を出して支払った。
今どき珍しくワンコインランチが売りだったのに、不況に負けたのか、すべてのメニューが値上がりしていた。
それでも、十分安いのだけど。
お釣りを受け取って、原口係長と並んで歩く。
歯みがきしてメイクを直す時間は確保出来そう……
なんて考えつつも、気持ちは落ち着かない。
当たり前だ、あんなことを聞かされれば誰だって気になって仕方ないだろう。
知らず知らず、ため息が漏れる。