泣き顔にサヨナラのキス
『昨夜、何してたの?』
でも、訊いてどうする?
あたしだって、原口係長と二人で居たわけだし。
ある意味、同罪ってことになる。
あたしがそんな考えを巡らせていると
「野上さん、私孝太君のこと、諦めません」
アナウンサーのように、よく通る声ではっきりと言い切った山本さん。
メイクを直したての顔は、キレイに作られていて。
あたしを見詰める山本さんの視線は、潔いほど真っ直ぐに思えた。