向日葵の逝く先
 


「…こんばんは」


声をかけてみる、と。

俯いていた陸くんは顔を上げ、わたしを真っ直ぐに見た。


「こんばんは、花さん」

陸くんが微笑む。


陸くんに名前を呼ばれたのははじめてのような気がした。

そして名前を呼ばれるなんて普通のことで、ちょっと嬉しくなるわたし。

馬鹿だ。


「今日は倒れたりしない、よね?」

「大丈夫。今日は体調いいんだ」


機嫌もよさそう。


 
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