群青の月
「降りて」


エンジンを切った俺は、柚葉を促しながら車から降りた。


不服そうにしながらも付いて来る彼女を何度も確かめながら、マンションの地下エントランスに繋がるガラス扉を開ける。


「俺の家、最上階なんだ」


エレベーターのボタンを押した後、後ろにいる柚葉の様子を窺うように言ってみたけど…


彼女は特に反応も見せずに、もうすぐ肩に付きそうな毛先を弄っている。


色を抜いている割にはサラサラに見える、柚葉の髪。


触り心地の好さそうなそれを見ていると、何だか無性に触れてみたくなった。


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