群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
あたし、マジで何してるんだろ……
高級そうな黒いレザーソファーに腰を沈めながら、そんな事を何度も考えていた。
冬夜に連れて来られたマンションの一室は、どう見ても高級だとしか思えない家具で統一されていて、何だか居心地が悪い。
あたしを連れ込んだくらいだから、『彼女』と呼べる人はいないんだとは思う。
だけど、こんな広い部屋に一人で住んでいるのなら贅沢極(キワ)まりないし、余計に怪訝な気持ちになる。
リビングと対面式になっているキッチンに行った冬夜の素性を、心の底から疑いたくなってしまった。