群青の月
冬夜の行動を黙って見ていたあたしは、箱の中から出された物を見た瞬間、目を見開いてしまった。


まるで新雪(シンセツ)のように真っ白な生クリームに覆われ、綺麗にデコレーションされているケーキ。


表面には真っ赤な苺がケーキを縁取(フチド)るように乗っていて、中心ではメッセージが書かれたチョコレートのプレートが存在を主張している。


【Happy Birthday to Yuzuha】


そこには、確かにそう書いてある。


目の前にある物があたしのバースデーケーキだと確信するのに、数秒も掛からなかった。


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