群青の月
「……どういうつもり?」


眉をグッと寄せながら訝(イブカ)しげに尋ねたあたしには、可愛げなんて物がちっとも無いと思う。


だけど、冬夜の素性を怪しむ気持ちは募る一方なのに、簡単に喜んだりは出来なかった。


そもそも、どうして目の前にバースデーケーキがあるのかが、あたしには全くわからない。


理解不能な冬夜の行動は、あたしを今までで一番酷く苛立たせた。


「答えなさいよ!」


命令口調で声を荒げると、楽しそうに蝋燭(ロウソク)を立てていた彼がフッと笑った後、ゆっくりとあたしを見た。


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