群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
目が覚めた時に視界に入って来たのは、見慣れない景色。
いつもみたいなホテルじゃない事は明確だけど、自分がどこにいるのかはまだ思い出せなくて…
怠(ダル)い体を起こして辺りを見回そうとすると、視界の端にあったドアが静かに開いた。
「お、やっと起きたか」
微笑みながら入って来た男に、眉を小さく寄せる。
「アンタ、誰だっけ?」
「はぁ?お前なぁ……」
「冗談だっつーの。そこまでバカじゃないから」
あたしはベッドから降りて、小さな欠伸(アクビ)を一つ落とした。