群青の月
◆Side‥冬夜
【Side‥冬夜(トウヤ)】
夜の街を包む人工的に造られたネオンが、やけに眩しい。
目を刺すような光にさっきからため息ばかり漏れて、同時にその目映(マバユ)さに何だか泣き出してしまいそうになる。
だけど…
どんなに綺麗な光に包まれていても、屋上から見下ろす街は真っ黒にしか見えない。
そして、どうやら汚れた街にあるこの会社までもが、暗闇の中に存在していたらしい。
何もかもが、嫌になる。
自分(オレ)の全てを捧(ササ)げるつもりで積み重ねて来た1年分の努力が、今日と言う1日だけで“無”になってしまったんだから…。