群青の月
「……体、売りに行くのか?」


眉を寄せて苦い表情を浮かべた冬夜を見据えて、冷たい視線を遣る。


「そうだよ」


あたしが至って冷静な表情のまま答えると、彼の顔がグッと歪んで険しくなった。


それはまるで苦痛を感じているかのような、そして同時に悲しみを抱いたかのようにも見える。


だけど…


今日知り合ったばかりの男に、そんな顔をされる筋合いは無い。


「……じゃあ、そういう事だから」


ため息混じりの言葉を落として足を踏み出した瞬間、またしても手首をガッチリと掴まれてしまった。


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