群青の月
冬夜が、自分(アタシ)を買おうとしている理由がわからない。


あたしを買う理由がただの暇潰しだとしても、別に構わない。


だけど…


それなら、あのビルの屋上で会った時から一緒に過ごした今までに、いくらだってそのチャンスはあった。


だから、さっきまで一緒に眠っていても何もしなかった冬夜が、今になってこんな事を言い出す理由がどうしても理解出来なかったんだ。


「……今更、何であたしを買おうなんて考えた訳?」


眉を寄せたまま静かに尋ねると、彼は呆れたようにため息をついて笑った。


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