群青の月
「俺は、別にお前の体を買おうなんて思ってねぇよ」


「は?じゃあ、何の為にお金を出す訳?」


眉間にシワを寄せたままのあたしに、冬夜はどこか困ったような笑みを零した。


「俺が買うのは、お前の今夜の“時間”だ」


その言葉に目を見開くと、彼がわかり易く説明を付け足してくれた。


「体を求めるつもりはない」


漆黒(シッコク)の真っ直ぐな瞳が、あたしを見つめる。


「でも、柚葉と一緒に過ごす為には金を出すしかなさそうだからな……。お前は体を差し出さずして金が入るんだから、別に悪くない話だろ?」


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