群青の月
ふと気が付くと、柚葉が眉をグッと寄せながら俺を睨み付けていた。


思わず目を見開きそうになった所で、彼女がこんな表情をした理由を何となく理解し掛ける。


「……そりゃあ、こんなご立派なマンションに住んでるアンタからすれば、三万なんてさぞかし安いんだろうね」


口元を緩めてハッと笑った柚葉を見て、それが確信に変わる。


「あのさ、誤解するなよ?さっきのは、俺にとって安いって意味で言った訳じゃなくて、柚葉の体がそんな値段で売られてる事自体に安いって言ったんだよ」


「はぁ?そんなのただの言い訳じゃん。要するに、結局は同じ事でしょ」


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