群青の月
さっきまでは、質問にすら答えて貰えない事もあったのに…


今はこんな風に言い合いが出来るようになった事に、何だか言葉に出来ないような嬉しさを感じてしまう。


「何笑ってるのよ?」


話の途中で口元が緩んだ俺に不服になったらしく、柚葉があからさまに不機嫌な顔をした。


「何か楽しいな、って思ってさ」


「は?」


柚葉は顔をしかめながらため息をついた後、テーブルに置いたままのタバコに手を伸ばす。


俺がジッポを差し出して火を点けると、彼女はそこに顔ごと寄せてタバコの先端を付けた。


< 145 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop