群青の月
柚葉は灰皿にタバコを押し付けると、ベランダに近寄ってカーテンを開けた。


「言っとくけど、俺のせいじゃないと思うぞ。お前の場合は、元々ため息が多いんじゃないのか?」


その背中にそう投げ掛けた直後、もう何度目かわからないため息が響いた。


「マジでため息つき過ぎだろ」


苦笑した俺に対して、柚葉からはもうため息すら返って来ない。


「おーい、柚葉ー!」


例え他愛のない会話でも、それが続いていた事を喜んでいたのに…


柚葉はまた、何も話してくれなくなってしまった――…。


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