群青の月
俺の背丈よりも低いフェンスを登って、その向こう側にゆっくりと降りてみた。


1メートル程の幅しか無い足場は、この高さだととてつもなく頼りなく感じてしまう。


飛び降りてみようかと思っていたくせに、いざとなると少しだけ足が竦(スク)む。


何だよ……


情けないな……


そんな風に感じて、自分自身が余計に滑稽に思えてしまった。


生半可な気持ちでこんな事をしようと考えたせいなのか、未だにここから飛び降りる勇気は湧いて来なくて…


俺は後ろ手でフェンスを掴みながら、頭上に広がる夜空を仰いだ。


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