群青の月
思わず頷いてしまったのは、きっと冬夜の口調がさっきまでとは一変して、まるで諭すような話し方だったからで。


あたしは、決して彼に流されてしまった訳じゃない。


こんな言い訳みたいな事を考えている時点で、もしかしたら冬夜に流された事を認めているのかもしれないけど…。


「じゃあ、行くか」


コートを羽織った彼は、あたしを見て何かを思い出したように目を細めた。


「……今度は何?」


「ちょっと待ってろ」


冬夜はそれだけ言い残し、足早にリビングから出て行ってしまった。


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