群青の月
程なくして戻って来た冬夜は、あたしの肩にライダースジャケットを掛けた。


「そのままだと寒いだろ。だから、とりあえずそれ着とけ」


その好意を素直に受け取ったのは、春先の夜はまだすごく冷えるからで。


誰に何と言われようと、絶対に冬夜の言いなりになっている訳じゃない。


さっきと同じように言い訳を並べている事には気付かない振りをして、あたしには大きいライダースジャケットを着た。


「一番小さなやつ選んだんだけど、やっぱりそれでも大きいか」


冬夜はジャケットを着たあたしを見て呟いた後、どこか楽しげに笑った。


< 151 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop