群青の月
このマグカップを手に取ったのは、何となくだった。


たまたま目に付いたこれを見た時、柚葉の顔が浮かんで…


勝手に彼女専用にする事に決めて、すぐに購入した。


「今日も仕事だったのか?」


「当たり前でしょ」


柚葉は眉を寄せながら答えた後、コーヒーを飲んだ。


「そうだよな……」


彼女が体を売る事以外にも仕事をしている事を聞いたのは、つい一昨日の事…。


プライベートな事はほとんど答えてくれなかった柚葉が、一昨日になってやっと少しだけ自分の事を話してくれたんだ――…。


< 166 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop