群青の月
何も言えなくなった俺は、自嘲気味に笑って誤魔化(ゴマカ)す。


それでも、柚葉の事を知りたいと思ったのは嘘じゃない。


それに相手が彼女じゃなかったら、たぶんこんな事は考えなかった。


だって…


俺は、本当はこんな事に金を遣うのは好きじゃないから…。


だけど、今はどんな形であっても、一人になる事を避けたい。


昼間はともかく、特にやり場の無い感情を抱くに違いない夜は、どうしても誰かと一緒にいたい。


だから…


俺にとっては、この契約金として遣う三万円にはちゃんと意味があるんだ――。


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