群青の月
冬夜と出会ったあの日、彼が何か嫌な目に遭った事は何となく気付いていた。


本人が思い付きだと言っていたとは言え、自殺なんてしようとしていたくらいなんだから…。


きっと、冬夜にとっては余程(ヨホド)の事があったに違いない。


あたしの知っている限り、彼はいつもバカみたいに明るく振る舞っているけど…


時々、別人みたいに暗い表情になって、その瞳に深い闇を映す。


そんな時の冬夜は、どこか悲しげに見えて…


その心の奥底には、焦燥(ショウソウ)感にも似た感情を隠し抱いているようにも思えた。


< 179 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop