群青の月
上層部の連中は、俺なんかの言葉よりも、実績のある同僚(アイツ)の言葉を信じた。


世の中は金と力が全てだ、と感じた瞬間だった。


こんなにも理不尽な事は無い。


クソッ……!


こんな腐った会社なら、こっちから願い下げだ……


そんな風に感じたせいなのか、今なら飛び降りられそうな気がした。


俺はフェンスを掴んでいた後ろ手をゆっくりと離し、深呼吸をしてから足を半歩だけ踏み出した。


その瞬間…


「何してるの?」


背後から、ぶっきらぼうな声で紡ぎ出された言葉が飛んで来た。


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