群青の月
ガチャリと音が鳴ってドアが開き、頬を紅潮(コウチョウ)させた柚葉がリビングに戻って来た。


「ビールでも飲むか?」


柚葉に笑顔を向けると、ソファーに腰を下ろした彼女が無言で頷いた。


俺はリビングと対面式になっているキッチンに行って、冷蔵庫からビールを二本取り出した。


キンキンに冷えたそれは、この季節に素手(スデ)で持つには冷た過ぎる。


「ん」


俺が差し出した缶を、柚葉はやっぱり無言で受け取った。


そして、どこか面倒臭そうな表情でタブを開けた彼女が、ビールをグッと飲んだ。


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