群青の月
柚葉の隣に座った後、ビールに口を付けずに彼女に視線を遣った。


やっと役割を果たせるようになったパジャマは、すっかり柚葉に馴染んでいるように見える。


元カノの為に買った物だったけど、これを着てくれたのが彼女で良かった、なんて思っていた。


「……何?」


眉を寄せて怪訝そうにした柚葉に、小さな笑みを返す。


「その顔、何かすっごい気持ち悪いんだけど……」


「お前は、どこまでも失礼な奴だな……」


心底嫌そうな表情で悪態をついた柚葉に苦笑すると、彼女は何も言わずにまたビールを飲んだ。


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