群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
冬夜と出会ってから1ヶ月が経ち、世間は間近に迫ったゴールデンウィークに浮足立(ウキアシダ)っていた。
だけど…
少し前から常に憂鬱な気持ちに苛(サイナ)まれていたあたしは、その雰囲気にすら苛立ちが募っていく。
「……ゴールデンウィークか。せっかくだから、俺らも旅行でもするか?」
相変わらずヘビースモーカーな冬夜が、本気とも冗談とも付かない笑顔を見せながら、咥えていたタバコを離した。
その質問にため息を返し、彼のタバコを箱から抜き取る。
「やっぱりダメか」
苦笑した冬夜は、またタバコを咥えた。