群青の月
◇Side‥柚葉
【Side‥柚葉】
「飛び降りるの?」
目の前にいる男に興味なんて微塵(ミジン)も無いのに、気付いたらそんな事を訊いていた。
もし仮に、この男が自殺志願者だったとしても、あたしにそれを止める権利は無い。
それに、例えあたしにそんな権利があったとしても、彼を止めようなんて思わない。
だけど…
あたしに飢えた獣のような鋭い瞳を向けている男の事が、ほんの少しだけ気になってしまったのは事実。
そして、その気持ちは“興味”に値する程のものでは無かったけど、何故か自分から話し掛けてしまっていたんだ…。