群青の月
◆Side‥冬夜
【Side‥冬夜】
柚葉を見送った後、リビングのソファーで物思いに耽(フケ)っていた。
帰り際の彼女の様子が、どこか変だった気がする。
直感的にそう思っただけだから、ただの気のせいなのかもしれないけど…
いつものように俺が三万円を差し出した時、柚葉は一瞬だけ躊躇したような表情を見せ、受け取ろうとしていた手を止めた。
不思議に思って口を開こうとしたら、柚葉がパッと金を取ったから何も言えなかったけど…
彼女はいつも迷いもせずにそれを受け取っていたから、さっきの態度にほんの少しだけ引っ掛かってしまったんだ――…。