群青の月
「母親だって言うんなら、もっとまともな人間でいろっつーの……」


苛立ちと一緒に吐いた言葉が、1Kの狭過ぎるアパートの部屋に響いた。


戸籍上、確かにあの人は母親だ。


だけど…


それはあくまで紙の上だけの事で、あたしが物心付いた時から、あたし達の親子関係は成り立っていなかった。


むしろ、親子としての関係なんて、最初から無かったようにすら思う。


あたしは、苛立ち混じりのため息を漏らした。


そして、部屋に充満したアルコールの匂いを追い出す為に、ベランダと呼ぶには小さ過ぎる場所のドアを開けた。


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