群青の月
若くしてあたしを産んだ母は、あの厚化粧に似合わず、まだ40歳にもなっていない――。


母が18歳の頃、働いていたスナックで出会った男との間に出来た子供が、自分(アタシ)だった。


母は本気だったみたいだけど、相手には妻子がいたらしくて…


男は母の妊娠がわかった途端、数十万円の手切れ金を押し付けるように母に渡した後、そのまま忽然(コツゼン)と姿を消した。


何も知らずにその男と付き合っていた母は、若かったせいもあって中々現実を受け入れる事が出来なかった。


そのせいで、何週間もの間、何もする気力が起きなかった。


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