群青の月
あたしの言葉が、男に何かを感じさせたのかもしれない。


「ブッ……!ハハッ!!」


そんな風に感じた直後、彼が声を上げて笑い出した。


一人で笑っている男を前に、あたしは呆然とする事しか出来ない。


一瞬、こんなよくわからない怪しげな男の事なんて放置して、このまま立ち去ってしまおうかとも思ったけど…


何となく、踵(キビス)を返す気にはなれなかった。


しばらくすると、男はやっと落ち着きを取り戻したみたい。


彼は深呼吸をして息を整えた後、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめながら口を開いた。


< 22 / 1,000 >

この作品をシェア

pagetop