群青の月
「恋愛感情、か……」


ポツリと呟いた言葉が、静まり返った部屋にやけに響いた。


抱いた感情を認めてしまうのは思ったよりもずっと簡単で、むしろ何だか呆気ない気さえする。


この感情を抱いた理由なんて、自分でもわからない。


可愛いげの無い無愛想な女のどこに惹かれたのかも、全くわからない。


その上、情けないだけの今の自分(オレ)に柚葉が振り向いてくれるとは、到底思えない。


それ以前に、今は会う事すら叶わないのだから…。


だけど…


それでも、俺は柚葉に会いたくて堪らなかった。


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