群青の月
「諦めが悪いな、俺も……」


大きな未練があるとは言え、会社の事は自分の中から切り捨てた。


それなのに…


柚葉の事は、どうしても諦められそうに無いんだ…。


歯痒(ハガユ)さを感じて苛立ちを抱くこんな事に、ここまで執着してしまうのはどうしてなんだろう…。


こうして俺がヤキモキしている今も、柚葉は誰か他の男に体を売っているのかもしれない。


ついそんな事を考えてしまう度に、更に苛立ちが募って…


やり場の無い感情を抱く俺の心の中には、もう柚葉以外が入る隙間すら無くなっていた――…。


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