群青の月
部屋の中が薄暗い事に気付いたのは、柚葉に電話を掛けてからしばらく経った頃の事だった。


「もう、こんな時間か……」


独り言が増えた事が酷く虚しくて、観る気も無いテレビをとりあえず点ける。


賑やかなバラエティー番組では、ゴールデンウィークを振り返るような特集がやっていた。


そのつまらなさに益々観る気が失(ウ)せて、ガラステーブルに無造作に置いたままのタバコの箱に手を伸ばす。


だけど…


「あ……」


持ち上げた箱がやけに軽くて、中身を確認する前にそれが空っぽだと言う事を教えられてしまった。


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